手作業でのCSV変換やめました。~受注データの完全自動化~

DX・業務改善

こんにちは! DX推進チームです。

私たちの会社では、様々な取引先様と日々データ連携を行っています。その多くは効率化されていますが、中には「昔からこうだから」と、当たり前のように続いてきた、ちょっと面倒な手作業も残っていました。

今回は、そんな長年の慣習だった「メール添付CSVの手作業変換」を、既存のサービスを活用してシンプルな改善で大きな効果があった業務改善事例をご紹介します。

【改善前の流れ】一つのCSVファイルをめぐる、地味で面倒な変換作業

特定の取引先様からは、メール添付でCSV形式の発注データが届きます。ここからが出荷データ登録までの地味なリレースタートです。

  1. メールを受信 📥 担当者がメールに気づき、PCにCSVファイルをダウンロードします。
  2. Excelで手作業変換 💻 ダウンロードしたCSVをExcelで開きます。そして、配送システムの仕様書と見比べながら、列の順番を入れ替え、不要な列を削除し、固定のコードを手入力し、日付の形式を直し…といった変換作業を手作業で行います。
  3. システムへアップロード 🚀 変換したCSVファイルを保存し、ようやく配送システムへアップロードして、出荷準備に取り掛かります。

一見すると単純な作業ですが、ここには多くの「見えないコスト」が潜んでいました。

  • 完全な単純作業: 担当者はただデータを右から左へ移し替えるためだけに、毎日貴重な時間と集中力を使っていました。
  • タイムラグの発生: 担当者が他の業務で忙しいと、この変換作業が後回しになり、出荷準備が遅れる原因になっていました。
  • 人的ミスのリスク: 「列を一つ間違えた」「コードを誤って入力した」といった小さなミスが、後の大きな手戻りやトラブルに繋がる可能性を常に秘めていました。

【なぜ、私たちは”自作”を選んだのか? (Build vs. Buyの選択)】

「取引先とのデータ連携を自動化したい」と考えたとき、私たちの最初のステップはコードを書き始めることではありませんでした。まずは、世の中にある様々なデータ連携サービス(iPaaS)や業務自動化ツールを調査・比較することから始めました。

すぐに導入できる便利なサービスは、確かにたくさんありました。しかし、私たちはそれらのサービスと「自社で開発する」という選択肢を、費用対効果の観点から慎重に検討しました。

既存サービスを利用する場合 (Buy)

  • メリット 👍:
    • 導入が早い: 契約すればすぐに利用を開始できる。
    • 高機能: 様々なデータ形式に対応しており、管理機能も高い。
    • サポートが充実: 困ったときに問い合わせができる安心感がある。
  • デメリット 👎:
    • 継続的なコスト: 月額数万円の基本料金や、データ転送量に応じた従量課金が発生する。これが「ランニングコスト」として将来にわたってかかり続ける。

自社で開発する場合 (Build)

  • メリット 👍:
    • 圧倒的な低コスト: 一度開発してしまえば、ランニングコストはほぼゼロに近い。
    • 自由なカスタマイズ: 将来的に取引先の仕様が変わったり、別のシステムに連携したりと、自分たちの手で自由に拡張できる。
    • 技術ノウハウの蓄積: 開発を通じて、社内に実践的な知識という貴重な資産がたまる。
  • デメリット 👎:
    • 初期開発コスト: 完成するまでのエンジニアの時間と労力が必要。
    • 自社でのメンテナンス: システムに問題が起きた場合、自分たちで解決する必要がある。

【私たちの下した決断と、リアルな費用】

比較検討の結果、私たちは「自社開発(Build)」の道を選びました。

決め手はやはりランニングコストです。色々な方法で自動化が出来る事は調べていましたが、一番シンプルで低コストという事で今回の仕組みは、「Google Apps Script」を活用しましたので追加のサーバー代やサービス利用料は一切かかりません。

それでいて、担当者の作業負担がゼロになり、データ登録のリードタイムが大幅に短縮されるなど、費用対効果の面でも非常に大きな改善となりました。

【スクリプトの裏側:賢いデータ変換職人の仕事術】

さて、ここからは私たちの「手作業変換」をなくしてくれた、賢い司令塔(スクリプト)が、裏側でどんな仕事をしているのかを少し詳しくご紹介します。

  1. メールの見張り番 スクリプトが起動すると、指定した取引先からメールが届いていないか、Gmailの受信トレイを24時間体制で監視し始めます。
  2. 添付ファイルの鑑定士 新しいメールの中からCSVファイルが添付されているものを見つけると、次はそのファイルが処理すべき正しい注文データかを確認します。
  3. データ形式の翻訳家 ファイルが正しいと判断すると、いよいよ翻訳家の出番です。スクリプトがCSVの内容を読み込み、「この列はあっちへ」「この日付はYYYYMMDD形式に」「この列には固定コード『231121』を追加」といったルールに従い、一瞬で配送システム用のデータ形式に変換します。
  4. 報告と整理係 最後に、変換が完了したファイルをGoogle Driveの指定フォルダへきちんと保存し、処理が終わったメールには「処理済み」ラベルを付けて整理します。もしエラーが起きた場合は、即座に担当者へ通知が飛ぶようになっています。

この記事が、皆さんの会社の業務改善のヒントになれば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました!