——「全部AIに任せる」のではなく「どこまで任せられるか」を検証する段階
私たちは今年、受注 → 出荷 → 配送追跡までを一本の線で結ぶ自動化を完成させました。
これは大きな前進でしたが、実装して見えてきたのは「次に残っている仕事は何か」という課題です。
その答えを探すために、現在AIエージェント導入の実証実験を始めています。
この記事では、今の段階でわかった“可能性と限界をまとめます。
■ AIエージェント=魔法のロボットではない
よく誤解されがちですが、AIエージェントは
人間の代わりに全部やってくれる存在ではありません。
現状の私たちの理解はこんな感じです:
- 自動化:決められた手順を機械に任せる
- AIエージェント:状況に応じて“判断の補助”をする
つまり「命令不要で自分で考えるAI」ではなく
“人間が考える前に材料を揃えてくれる相棒”に近い
というのが、現時点の肌感です。
■ 実証環境で試している領域
以下の3つの“業務ステップの間”を、AIがどう繋げるかを検証しています。
- FAX/OCRで得た受注情報 → スプレッドシートへの登録
- 出荷データ → 出荷通知
- ステータス更新 → 顧客へ共有
まだ全部のプロセスを任せているわけではありません。
現段階は「どこなら任せても問題にならないか」の見極めです。
■ 倉庫で試していること(導入完了”ではない)
誇張なく書くと、AIが倉庫の仕事を変えたとまでは言えません。
ただし、“倉庫担当者に渡す情報の質”は確実に上がりました。
具体例:
- 出荷予定一覧をAIが先に整えてくれる
- 過去の納品履歴や数量をワンクリックで取り出せる
- お客様ごとの注文傾向を一目で見られる
つまり、人の仕事は「探す」から「確認する」へ。
ここは確かに変化を感じています。
現場はまだこうです
- ピッキングは人がやる
- 梱包は人がやる
- 出荷ラベルは人が貼る
AIがやるのは、
「前処理」だけ
ここを勘違いしないことが重要だと思っています。
■ 事務所で見えてきたこと(効率化“途中”)
事務所でのAIエージェントは、作業者を置き換える段階ではありません。
むしろ、
作業者の“後ろに張り付いている助手”に近い
というのが正直な描写です。
例:
- 出荷結果の取り込み後→「そろそろ通知しますか?」と提案
- 追跡の画面→AIが集約し要点をまとめてくれる
- 過去の履歴→条件を話すとAIが抽出
重要なのは、
“完全自動”に近づくのではなく
“判断にかかる時間が短くなる”
という質的な改善です。
■ まだできないこと(ここが現実)
ここは読者にちゃんと伝えたい部分です。
- 例外処理の自動判断は弱い
→ “怪しい”までは検知できるが、理由は説明できないことが多い - FAXや手書きデータは誤読が出る
→ 倉庫で確認する必要あり - モール特有の予測は学習不足
→ 根拠のない提案が混じる - デスクトップアプリ操作は未完成
→ PyAutoGUI等は“事故る可能性あり”
つまり、
人がいらない段階ではない。
人が楽になる段階です。
■ エージェント導入で分かった“最初の一歩”
誇張せず言えば、
エージェントは“最終の完成系”ではなく“改善ツールの1つ”
でした。
そして導入を進めるほど、
“どこに人が必要か”が鮮明になる
これが、予想外の成果でした。
■ 今後の構想(あくまで計画)
ここから先は実証中・未確定です:
- OCR結果の精度を蓄積 → AIが学習する仕組み
- 出荷例外(欠品/交換)→ 自動で社内通知
- 取引先ごとの癖 → AIが補正ルールを提案
- 配送遅延 → 自動で顧客アラート
ポイントは、
AIが“決める”のではなく
AIが“判断材料を揃える”
この役割分担が、現時点の正解に近いと感じています。
■ 最後に(ここが一番伝えたい)
AIに夢を見ない方がうまくいきます。
でも、悲観する必要もありません。
“今の仕事をそのまま任せる”のではなく
“任せられる部分を分解する”
この考え方に切り替えた瞬間、
私たちの現場は一歩前に進みました。
AIエージェント導入は完成させるものではなく、
じわじわ範囲を広げるプロセスに近い。
今は、その1歩目です。そして、この「判断を人が担い続ける構造」を、
個人の負担ではなく、仕組みとして支える存在が必要になりました。


